2024/07/10 22:15

よく焙煎所によって焙煎前に生豆を洗う焙煎所、洗わずにそのまま生豆を焙煎する焙煎所があります。今日はこれについてお話したいと思います。


生豆を洗う?洗わない?

まず、BONUS COFEE 焙煎所の結論は、生豆は洗わずに焙煎しております。
これには弊所なりの確固とした根拠に基づいております。

では生豆を洗っている焙煎所は何を目的としているか

一部界隈で焙煎前に生豆を水洗い、もしくは50℃程度のお湯で洗浄している焙煎所がしばしば見受けることがあると思います。つまり、洗うことによって豆自体をきれいにし、「安全」「安心」を謳い付加価値をつけて販売している焙煎所も少なくありません。ではその行為が本当に安全、安心になるのでしょうか。というのが弊所の疑問なのです。
そもそも、長い歴史を持つ珈琲焙煎という文化。本当に上記のエビデンスが確立されていれば、焙煎前にかならず水洗い、お湯洗いをする。という焙煎レシピがあるはずです。ですが、そんなレシピは確立されておらず、弊所のように仕入れた生豆をそのまま焙煎する焙煎所が大多数なのだと思います。
確かに、世界各国の精製所は、衛生管理が日本よりも低いところがほとんどで、生豆を作る際に洗浄する水ですら、飲料水を使っているような精製所は皆無に等しいでしょう。生豆をそのまま口にするのであれば、安全、安心という面では大変疑念に感じます。しかしながら、珈琲焙煎はそもそも200℃を超える温度で焙煎します。仮に豆に農薬や有害物質が多少なりとも残存していたとしても、高温の処理でほとんど消失してしまうのでは。さらに、表面の薄皮(チャフ)が剥がれることで上記物質も剥がれ落ち、健康を害するようなことはないのでは。というのが私なりの考えです。
そこで、この疑問に対して珈琲豆に精通した弊所の信頼のおける方に投げかけてみました。

すると、やはり私が考えていたこととほとんど同じような答えが返ってきました。

焙煎により有害物質や残留農薬などの付着物のほとんどが消失され、洗浄してもしなくても食の安全性との化学的な因果関係はとれない。とのことでした。

つまり、焙煎前に生豆を洗浄することが安全、安心な珈琲豆につながる担保はない。ということになります。
なので、弊所ではその行為は無意味として、生豆は洗浄せずに焙煎しています。

焙煎前に生豆を洗浄する弊害も

さらに問い合わせた方からは、このような意見も。
>水洗いすることで予期しないリスクもあると考えられます。
①珈琲のフレーバー(風味)は水に溶けやすい成分もあり、水洗いすると一般的にはフレーバーは落ちる。
(フレーバーは落ちない。と言って水洗いされている焙煎所もございます。)
②洗った生豆を乾燥、保管する際に、乾燥が不十分だったときにできるカビ発生のリスク。
③水洗いした豆を意図的に湿った状態で焙煎することは焙煎機にとっても負荷がかかり、その後のメンテナンスも慎重にしなければならない。

そもそも焙煎機の内部は温度が急激に上昇し、豆内での様々な化学反応で珈琲豆ができあがります。
水分が残ったり、もしくは過剰な水分量を含んだ生豆を焙煎した場合、通常の乾燥された生豆と比較して適切なカロリー(熱)が豆に伝わらずに焙煎が進む可能性もあるのではないかと思っています。つまり、焙煎工程で大切なメイラード反応などの珈琲豆が作られて行くうえで欠かせない反応が水分やドラム内の過剰な湿度によって微妙な変化やズレが生じてしまうのではと。(これは私の主観的意見です)

まとめ

生豆を焙煎前に水洗い、お湯洗いしても安全・安心の担保とはならない。
②水洗いした豆を乾かす時に生乾きで保管してしまったことによるカビ発生のリスクのほうが健康を害する恐れがある。
③水洗いすると少なからず豆のフレーバーが損なわれる
④湿ったまま焙煎をしたときの焙煎機への故障、不具合のリスクとメンテナンスの手間。
⑤湿ったまま焙煎をしたときの豆への影響。過剰な湿度下のもとで高温の焙煎が行われる際に適切なカロリーの入り方や焙煎に大切な化学反応の微妙な変化やズレが生じる恐れ。つまり豆のポテンシャルが十分に生かされず、美味しく焙煎できない可能性もある。

ゆえに弊所は生豆を洗浄せずに焙煎しております。

※なお、焙煎前に洗浄している焙煎所やカフェ等を否定しているわけではございません。
あくまでも弊所が生豆を洗わないで焙煎している考え、理由を明記し、お客様にご理解を頂いたうえで安心してご購入していただきたいと考えております。